さて、前回の6周年では「樋口楓のTHE CATCH」について書かせていただき、これからの活躍を祈念するとしていたが、その後THE CATCHの枠自体が終了するという(話題にしていた手前)個人的になんとも気まずい感じであった。しかし、「樋口楓のこんな良い時間に何してんねん!」の開始が告知され、それは次なるステージへの変革であったことにホッと胸をなでおろした。 従前の超!A&G+での配信のみならず、文化放送での放送も加わった。インターネットのラジオ局から、リアルのラジオ局への進出である。それだけ、アーティストやラジオパーソナリティとしての顔も評価されていると考えていいだろう。 THE CATCH時代からの大きな変更といえば1時間の生放送から、30分の収録放送になったことだ。もちろん、配信に代表されるような「生」も魅力的なのは間違いないが、30分の収録放送は編集も加わることでテンポよく樋口さんのトークを楽しめる。言うなれば「お手軽版樋口楓」ともいうべきもので、移動時間で最初から最後まで聴ける良さがあるし、地上波放送になったことで、タイムフリーの恩恵を受けられるようになった。仕事のスケジュールが不定期な筆者もこの恩恵にあずかり、移動時間に聞くことが主となっているが、時間が短くなったとはいえ、生放送時代のエッセンスを損なわれていない、というのが第一印象だ。 こんな時間に、と言われる日曜20時半、一週間の終わりの放送時間だが、THE CATCH時代は金曜18時と「平日」の終わり。樋口さんのトークは何かを一つ終えた後のゆったりとした時間に本当によく似合う。それだけは時間や形態が変わっても何一つ変わらない。いつもの良さが平然と続く喜びは、数々の放送終了の告知に泣いてきた筆者にとって大きい喜びであった。個人的には、せわしない通勤時間ではないタイミングで聞きたいと思っているのだが、なかなか叶わず、少し口惜しい。 ところで最近、VTuberがラジオ番組を持つことが多くなっている。筆者がよくラジオを聴いていたころは、人気の若手声優さんの番組が始まり、「待望の……」とされることが多かったが、最近はそれがVTuberに取って代わられつつある。ラジオはオールドメディアと目されがちだが、生配信が常のVTuberだからこそ新鮮に映るともいえるだろう。あるいは、新旧両方のメディアをジャックする強者の証左か。 ラジオパーソナリティをもこなすVTuberのパイオニアともいえる存在の彼女は、配信者としての7周年もさることながら、ラジオパーソナリティとしても5年目に突入する。アニラジ・声ラジにおける5年目とは、結構なベテランだ。 装いも新たに、A&G+の「王道」ともいえる30分の土俵に挑む彼女。その行く末をまだまだ見守ってみたいと思うとともに、リスナーのメールはみんな読んでいる、とラジオ番組の命たるメールを大事にする彼女の姿勢を見習って、またメールを送ってみようと思う。